工務店との相談から注文住宅が完成するまでは、通常は顧客ごとに「営業担当者」がつきます。
営業マンだったり、設計士が直接担当したりと、形態はさまざまですが、これはローコスト住宅でも、それより高額な注文住宅でも同じです。
この営業担当者がどういう人物なのか
営業担当者の質によっては、施主の希望することが設計に反映されなかったり、必要のない費用がかかってしまうことも、大いにあり得るのです。
今回は、良い営業担当者を見極めるコツと、その担当者とうまく意思疎通を取る方法についてまとめました。
なぜ、営業担当者の「質」が重要なのか
ローコスト住宅を建てる
これは、ひとつのプロジェクトのようなものです。
施主は、最終決定者で、しかも出資者です。
しかし、家づくりに関しては「ど素人」なのです。
ローコスト住宅の相談・設計から実際の工事、完成と受け渡しまで、実に多くの関係者が携わります。
それに、必要な設備や機械、資材も膨大な量と種類になります。
また、建物を建てるためには、行政機関への各種届出も省略できません。
「ど素人」には、とても手に負えません。
そこで、「営業担当者」の出番です。
営業担当者が施主の意向を確認し、それを形にするべく、それぞれの部門に伝えてくれます。
必要な費用も、営業担当者が把握していますから、施主からの価格交渉にも応じます。
ローコスト住宅の完成まで、「営業担当者」とは、プロジェクトの要なのです。
ダメな営業担当者を見きわめるポイント
「営業担当者」にもいろいろな方がいます。
大手の会社でも、頼りないひとはいるでしょうから、安心ではありません。
営業担当者の力量は、実際にしばらく関わらないとわからない部分もありますが、でも最低限これだけは気をつけるべきことがあります。
それは、「連絡のスタンス」、「根拠の曖昧な提案」、そして「他社の批判」です。
連絡のスタンスが合わない
営業担当者とは、様々なやりとりが必要になります。
連絡方法や頻度について、お互いの認識がずれているとき、かなり大きなストレスになります。
工務店やハウスメーカーに相談に行ったり、資料請求した場合、希望する連絡方法について確認されますから、それにはしっかり回答しましょう。
もし何も聞かれなければ、自分から伝えるのもアリです。
- 電話が良いのか、それともメールか
- 電話なら、対応できる時間帯はいつか
- 担当者が自宅に来てもOKか
これに沿った対応ではない場合、その営業担当者とは相性が悪いか、あるいは、顧客の立場を推測できないガサツなひとかもしれません。
意思疎通に不安を抱えながらだと、小さなすれ違いや勘違いが訂正されないままになり、
どこかでどーんと爆発することもあります。
連絡手段について、「営業担当者」にはしっかり要望を伝えましょう。
もちろん施主側も、マナーを守ることが大前提です(深夜・早朝に電話をしない、とか)。
根拠の曖昧な提案をする
例えば、こういう提案を重ねてくる営業担当者は要注意です。
今すぐ決めれば、値引きします。
「これとこれはグレードダウンするから」とか、「この資材はまとめて発注できるので」とか、理由があれば別です。
ただ、そんな根拠がない値引きでは、しわ寄せが行くのは工事の現場です。
そもそもローコスト住宅は、既に価格調整されています。
基本的には、もうあまり削る部分はないはずなのです。
そこを割引・・・?
しわ寄せで手間賃が減額されたら、大工さんのモチベーションは下がるでしょうね。
また、住宅の性能について、客観的に説明できない場合も要注意です。
例えば、
「暖かい家」と言いながら、使用する断熱材や各計測値(UA値やQ値・C値など)を説明できない
潤沢な費用で建てるセレブな注文住宅なら事情は違うでしょうけど、ローコスト住宅は、性能のレベルは確認が必要です。
「安かろう悪かろう」の資材や建材で、コストカットしている会社もゼロではないのです。
そんな会社は止めた方がいいですよね。
一方で、誠実に資材を調達し設計している会社であっても、窓口の「営業担当者」がそれを説明できないなら・・・
きっと施主側の意向を会社に伝えるのも、その「営業担当者」では難しいでしょうね。
同業他社の批判が止まらない
ローコスト住宅は、価格では大きな差がつきません。
なので、
「この安い費用でも○○できる家」
こんなセールス文句が常套手段となります。
この○○についても、極端な差別化は難しい部分があるのでしょうね。
費用が限られていますから当然でしょう。
そんな事情があるせいなのか、同業他社の批判を延々と話す営業担当者もいました。
こちらから訊ねたならまだしも、そうではない場合、その営業担当者は要注意です。
しかもその批判が「うわさ話」を元にしたものだったり、根拠をぼかした話の場合は、なおさらですね。
これはつまり、こちら側にも「根拠のない説明」をしている可能性があります。
なにより、「悪口」を延々と聞かされるのは、楽しい時間ではありません。
愚痴まで聞かされたらもう、お金を払ってキャバクラでも行ってくださいって思いましたよ(実話)。
「営業担当者」とうまく意思疎通するコツ
誠実そうな「営業担当者」に巡り合えたとしても、それがゴールではありません。
「営業担当者」と良い関係を作っていくことが肝要です。
そのために、施主としてできることはこんなことです。
- やり取りは記録に残す
- 自分の考えは、言葉にして伝える
- 他に相談先を見つける
やり取りは記録に残す
私自身もそうでしたが、ローコスト住宅の相談に行ってから、実際に完成するまで、営業担当者とは何度もやり取りを重ねます。
対面での打ち合わせは数回でしたが、メールのやりとりは100通を超えたでしょう。
何を聞いて、どんな答えが返ってきたか
全部は覚えておけないですし、それは、営業担当者の方も同じです。
「言った・言わない」の不毛な水掛け論にならないように、やり取りの記録は残しておきましょう。
その点、メールなら送受信がそのまま記録になるので便利です。
対面での打ち合わせなら、メモを取って、営業担当者にも見てもらう方法もあります。
自分の考えは、言葉にして伝える
「営業担当者」は、エスパーではありません。
施主側の心の声とか、家族の事情とか、細かい要望とか、以心伝心とはいかないのです。
「営業担当者」は、つい最近までアカの他人だったわけですから、いろいろ察してもらうのは無理です。
小さなことでも、言葉にして伝えることがとっても重要です。
さらにつけ加えると、
家事の手間や動線に関わる要望は、くどいくらいに細かく説明した方がイイです。
家庭内の話で個別性が高いので、こちらの常識は、相手の非常識だったりします。
設計担当者が家事に疎いと、なおさらです。
私の場合も詰めが甘く、台所の床下収納の場所を失敗しました。
指定しなかったら、不便な場所に設計されてしまったのです。
他に相談先を見つける
自分ももちろんそうですが、「営業担当者」も完璧ではありません。
間違いとは言えなくても、最良の方法ではない選択肢を提示されることもあります。
そんなとき、他にも相談窓口があると、第2・第3の選択肢も見つけることができます。
病院ならセカンドオピニオンですね。
専門のコンサルタントをつける方法もありますが、ネット上の掲示板や専門サイトのコミュニティに相談するのもひとつの手です。
ただし、そこで得られた知識や方法を鵜呑みにすることは危険です。
匿名性が高い無料サイトでは、間違った情報をつかんでも、それは自己責任となります。
これは!と思う情報があれば、本来の「営業担当者」と相談しましょう。
それにより、また別のもっとイイ方法が見つかることもあります。
営業担当者は変えられる?
こちらから伝える工夫やお願いをしても、状況が変わらなかったらどうしましょう。
- こちらから要望を伝えても、ズレた答えしか返ってこない。
- メールを希望したのに、電話でしか連絡が取れない。
- 他の業者の悪口ばかりで、自社の性能については、具体的な説明がない。
こんなふうに「営業担当者」への不信感を持ったまま、間取りの確定・契約・工事と進めば、何かトラブルが起きたときに大変です。
大きな事件がなくても、細かい部分の相談が不十分になり、入居してからの後悔につながりかねません。
もしも「営業担当者」とうまくいかないのであれば、取るべき方法はふたつです。
- その工務店・ハウスメーカーとの契約を保留にする
- 工務店・ハウスメーカーに「担当者」の変更を相談する
契約後のキャンセルは違約金がかかりますし、「営業担当者」の手間も無駄になってしまいます。
つまり施主・施工業者のいずれも、損が大きいです。
「営業担当者」とのやり取りで、しっくりしないと感じたら、まずは早めに「営業担当者」に細かく確認を取ってみましょう。
それでもうまくいかないなら、契約が確定的になる前に、他の業者を検討したり、「営業担当者」の変更を相談することがお勧めです。
「営業担当者」は、ローコスト住宅を建てるプロジェクトの要になる人物です。
良い出会いもそうですが、信頼関係を積み重ねていけるよう、施主側もいっしょに努力していきたいものですね。
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