家は器®
無機質で無口な花瓶が、一輪の花を引き立てるように、家は、家族の生活があってこそのもの。
決して主張し過ぎず、長い年月を共にする「器」。
それが「家」のはず。
そんな考えを元に、無垢材を多用してデザイン性の高い家づくりを続けるハウスメーカーがあります。
それは、アートホーム。
道東の北見市発祥の企業ですが、札幌圏でも施工棟数を伸ばしています。
今回は、アートホームが展開するローコスト住宅について、基本情報や口コミをまとめました。
アートホーム株式会社とは
アートホームとは、北見市に本社があるハウスメーカーです。
札幌市や千歳市に支店があるほか、インテリアショップやイタリアンレストランも経営し、イタリアのミラノにも支店があります。
それらレストランの造りにも見て取れますが、無垢材や自然材料を多用した温もりを感じられるデザイン性と、極寒の気候にも耐える住宅性能に定評がある会社です。
本来は、フルオーダーの注文住宅を手掛ける建築会社ですが、ローコスト住宅として、規格住宅も展開しています。
それが、Mini prot(ミニプロト)です。
ローコストの規格住宅とは言え、機能性とデザイン性を高く評価され、2010年にはGOOD DESIGN AWARD(グッドデザイン賞)を受賞しました。
また現在までに300棟以上の完成実績があり、人気のシリーズとなっています。
ローコスト住宅「mini prot(ミニプロト)」
標準仕様の造作洗面所(出典:アートホーム)
基本スペック
Q値 | UA値 | C値 | 耐震性能 |
平均値なし | 0.42 W/㎡・K 前後 | 0.5 cm2/m2前後 | 耐震等級2 |
住宅性能としては、省エネ対策等級4級が目安。
ローコスト住宅のシリーズ | Mini prot(ミニプロト) |
坪単価(目安) | 60~65万円/坪 |
施工地域 | 北海道全域・本州と九州の一部エリア(Mini protのVC契約工務店にて) |
断熱材など | 外張り断熱工法(フェノールフォーム断熱材) |
暖房方法 | プランごとに指定の暖房設備・熱源あり |
間取りの自由度 | 基本的には間取りは固定(東西南北の向きは調整可能) |
平屋 | 平屋プランあり |
土地の紹介 | あり |
工法 | 在来軸組工法 |
アフターサービス | 地盤保証10年
1年・3年・5年・15年・25年・35年点検 |
その他 | 水道配管はヘッダー工法を採用 |
コンセプト
ゼロからではなく、いくつかのプランから選び、あなたらしさをプラスしていく
Mini prot(ミニプロト)とは、基本的な設計プランは決まっており、それに必要なオプションを足していくタイプの規格住宅です。
一般的な注文住宅では、最初に要望を盛り込んだプランを作り、予算オーバーした分を引き算していくことが多いです。
でもそれでは、「諦める」という体験が積み重なっていきます。
また、特に若い世代では、潤沢な資金が用意できる世帯も限られてきます。
そこで、「手の届く予算設定」で住宅の基本的な部分を手に入れ、そこに「無理なく」こだわりを足していくことが出来ればいい。
そんなコンセプトで誕生したのが、規格住宅Mini prot(ミニプロト)なのです。
料金の仕組み
Mini prot(ミニプロト)の料金設定は、
1000万円台で手に入るを基本としています。
Basic29タイプ(延床面積29坪)
建物本体費用 1690万円
熱源(ガスの場合) 200万円
合計 1890万円なので、坪単価は65万円が目安です。
なおこの建物本体費用には、設計図書・住宅設備(キッチンなど)・無垢材の内装・造作家具・照明器具・瑕疵保険・消費税が含まれています。
断熱性能について
出典:アートホーム
外張り断熱工法
住宅の断熱工法は、大きく分けてふたつあります。
柱と柱の間に室内側から断熱材を充填する内断熱(充填断熱)と、家の周囲を外側から断熱材ですっぽりくるむ外断熱。
両者のうち、より確かな断熱能力を期待できるのは「外断熱工法」で、ミニプロトでもこれを採用しています。
外断熱工法では、柱や梁の部分でも断熱材を途切れさせることなく、ドアや窓など開口部以外の外壁面をほぼ100%覆うことができます。
これにより外気温の影響が最小限になり、室温が日中から夜も安定するようになるのです。
フェノールフォーム断熱材
ミニプロトでは、外張り断熱材として、高性能かつ軽量なフェノールフォームを採用しています。
フェノールフォームとは、プラスチック素材が原料の断熱材です。
有名なのはネオマフォームですが、他のメーカーからもいくつ発売されています。
一番の特長は、熱伝導率が0.020W/m・kと非常に低値であること。
例えばグラスウール(16K)では、熱伝導率0.045 W/m・kが目安ですから、2倍以上も熱を伝えにくいと言えます。
また、経年劣化が遅く、品質が長期間安定することや、火災に強い点も魅力です。
熱が加わると硬化する性質があり、火災に際に燃え広がりにくいことが証明されています。
ちなみに身近な例では、火に直接触れる灰皿やフライパンの取手などにも、同様の素材が使われています。
なお、ミニプロトで採用しているフェノールフォーム断熱材は、フロン系ガスを使用しない環境にやさしい製品です。
経年変化を楽しめる建材
出典:アートホーム
ミニプロトでは、経年変化を楽しみ、長く住み続けられるよう、建材にも配慮しています。
ホワイトウッド
構造体に使用するのは、北欧フィンランドのホワイトウッドを原料とした構造集成材です。
北欧の厳しい気候環境で育ち、樹齢80~100年を目途に伐採された木材で、しっかりとした強度と歪みのなさが持ち味です。
なおフィンランドでは、1本の伐採に対して3~6本の植林を義務付けており、持続可能な森林資源の保持としても、環境に負荷をかけにくい建材と言えます。
ただし、ホワイトウッドはシロアリの大好物でもありますから、対策についてはしっかり確認が必要でしょう(感想です)。
無垢の素材
木・鉄・ガラス・タイル・土・・・
ミニプロトでは、標準仕様で無垢・天然に近い素材を内装に多く取り入れています。
時間が経つにつれて、手触りや色合いが変化し、それを楽しめるのが無垢素材のいいところでしょう。
出典:アートホーム
なお木材の塗料については、ドイツ製「オスモカラー」を採用しています。
これは植物油と植物ワックスから作られた天然塗料で、ホルムアルデヒドなどの有害な化学物質が含まれないことから、子どものおもちゃにも使用されている製品です。
FFC加工のクロス
FFC(Ferrous Ferric Chioride フェラス・フェリック・クロライド)とは、水溶性の特殊な2種類の鉄ミネラル、水溶性二量体鉄塩のことです。
これを室内クロスに塗布することで、カビやダニの発生を抑え、善玉常在菌の働きを活性化させることがわかってきました。
ミニプロトでは、室内クロスにFFCを塗布加工しています。
間取り・設計について
規格型住宅のミニプロトでは、6つのタイプから間取りを選択します。
2階建て戸建てにシンプルな間取り設定の「Basic(ベーシック)」の他、狭小地向けの設計プラン、2階リビングを配置した家、物置とフリースペースを組み込んだもの、1階を車庫に活用した3階建てプラン、インナーバルコニーのある家など、多彩なプランが用意されています。
またそれぞれのプランで、数パターンの延べ床面積が設定されており、合計34プランから選ぶことができるのです。
なお、どのプランを選択しても、東西南北のどの向きにも配置が可能です。
アートホームの口コミ
アートホームに関する口コミはこちらです。
経年劣化という言葉がありますけど、うちは経年美化と考えてます。無垢床なども時間が経つにつれ美しくなる。と営業さんが言ってて確かにと思いました。
アートでミニプロト建てました。
寒いとか気密性が低いとか事実と違いすぎて…嫌がらせもあったりするのかな…
オール電化で極寒のこの時期電気代は5万くらいです。まわりと比べても安いと思っています。
間取りもすごく使いやすいし。担当さんも設計士さんもインテリアの方も女性で気さくで面白くて打ち合わせが毎回すごく楽しみでした。
もしもまた建てるとしてもアートホームでお願いしたいと思うくらい私達家族は満足しています
内覧会に色々行きましたが素敵なお家ばかりでしたよ
ミニプロト見てきましたけどオプション何だかんだつけるとね、結局注文で自分好みの家建てれる金額までいっちゃうなぁって感じました。 企画商品だからその企画にあった土地探しになって良い物件あっても変形地だとその時点ででダメでしょ? 難しい。
あとオシャレな企画商品やってるとこ調べたら意外や意外、結構増えてきましたね。後悔しないように色々見てから決めた方がいいですね。
ただミニプロトの満足度は高いです。値段も高いけど。
ネット上では、まだあまり口コミは投稿されていません(企業側サイトなどを除く)。
本社は道東の北見市ですから、札幌圏に浸透するのはこれからといったところでしょうか。
情報や体験談をお持ちの方は、当サイトのコメント欄に教えて頂けると嬉しいです。
施工事例
アートホームの施工事例は、こちらです。
出典元:アートホーム
ミニプロトBASIC
ミニプロトExz38
札幌市内にあるモデルハウスの情報
アートホームでは、ミニプロトについて、札幌市と近郊で常時複数のモデルハウスを公開中です。
またタイミングが合えば、オープンハウスを実施している場合もあります。
施主の意向が反映された実際の住宅を見学できるのは、とても貴重な機会ですよね。
またミニプロトは規格住宅ですので、ボランタリーチェーン契約を結んだ他の工務店でも、施工されています。
そのためアートホームの支店がない、本州・九州でもモデルハウスを公開中しています。
アートホームの概要
社名 | 株式会社アートホーム |
本社 | 北見市本町2丁目4番10号
【札幌支店】札幌市南区南30条西8丁目5番1号 【千歳支店】千歳市みどり台北5丁目1番1号 |
TEL/FAX | 【札幌支店】TEL 011-581-8686/FAX 011-584-8682 |
設立 | 平成2年2月15日 |
事業内容 | 住宅設計・施工、住宅増改築・リフォーム、家具の製作輸出入販売・インテリア用品の輸出入販売、店舗の設計・施工、マンション・アパートの設計・施工、酒類輸出入販売 |
建設業の許可 |
|
代表取締役社長 | 鈴木和幸 |
感想(個人的な)
ミニプロトの由来は、
Minimum :装飾的な付加価値をそぎ落とした、必要最低限の機能
Prototype:原型、基本型、手本、模範
(アートホームのカタログより)
華美じゃないけれど、豊かなデザイン
だから飽きないし、経年変化を楽しめる
こんな印象を持ちました。
ミニプロト(あるいはアートホーム)の世界観が好きで、それを形にした家に住みたい。
そんなファンに支えられているハウスメーカーなのかな。
そう思いました。
ここからは蛇足です。
ミニプロトだけでなく、アートホーム全体のホームページも拝見しましたが、文章が詩的です。
そしてフルオーダー住宅の施工事例を開くと、
これ、村上龍を連想させますね(「限りなく透明に近いブルー」という作品があるのです)。
万人に受けるシンプルさと言うより、ある特定のファンを熱烈に惹きつける戦略でしょうか。
もうアートホームの家以外は考えられないという人もいそうだな。
なんて、余談でした。
さて、アートホームを筆頭に、ローコスト住宅でも、内装に気を配ったハウスメーカーや工務店も増えてきました。
無駄な装飾は省いて、間取りはシンプルイズベスト。
これも悪くはありませんが、コスト削減だけに一辺倒なのも味気ないです。
かと言って、住宅性能もある程度は充実させたい。
どこを削って、何を付け足すかは、本当に難しいです。
ハウスメーカーや工務店の方は、基本的には自社に有利な情報をたくさんくれます。
その中で、冷静に判断していくには、施主側にも知識が必要なんだと痛感しています。
私はもう建て終わってしまいましたが、これから検討されるなら、まずは複数社から資料を取り寄せることがお勧めです。
A社ではオプション扱いでも、B社では標準仕様。
そんなこともよくありますし、何社も見比べると、費用差額の内容も推測できたりします。
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