窓と間取りがポイント!ローコストでも風通しの良い家を作る方法まとめ

風通しの良い家 間取りの工夫
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自宅の間取りを相談するとき、担当設計士さんに「風通しのいい家にしたい」とお願いしました。

 

理由はふたつです。

 

  • 犬のにおい対策
  • よどんだ空気に誘発される頭痛対策

 

飼っている犬たちは、3匹です。

小型犬とは言え、排泄の回数も量も、1匹の3倍。

 

まめにシャンプーはしますが、けもの特有のにおいもあります。

飼い主としてはあんまり気にならなくても、訪ねてきてくれたひとを不快にさせたくないです。

 

そして、もうひとつは頭痛対策。

気分の問題もあるのでしょうけど、

空気がよどんでいると感じたら、頭痛が起こる(ときもあります)

 

まあ、頭痛がなくても、風通し・空気の流れが良ければ、暖房・冷房効率の向上も期待できます。

昨今では、新型コロナ感染症の対策としても、換気の必要性が強く指摘されていますね。

 

では、風通しが良く、空気がよどまない家にするには、どんなコツがあるでしょうか。

私の家でも採用したものを含め、ローコスト住宅でも実現可能な方法を紹介します。

 

 

家の風通しをよくするポイントとは?

※犬たちは、風に揺れるカーテンが大好き

 

風通しの良い家にするためには、ふたつのポイントがあります。

 

  • 空気の流れを生み出す仕組み
  • 風(空気)の通り道

 

特に高断熱・高気密な戸建て住宅の場合、すき間風やコールドダウン現象が生じず、空気の流れも起きにくいです。

そのため窓の開閉や24時間換気システム、要所に取り付けた換気扇の使用などで、空気の流れを生み出す必要があります。

 

そして空気の流れを阻害せず、家の中の隅々まで巡回させるためには、風の通り道を意識した間取り設計が求められるわけです。

 

コールドダウン現象

冷たいグラスに触れた空気が冷えて水滴になったり、下に流れたり

 

コールドダウンとは、

窓の表面に触れて冷やされた空気が下に流れ、暖かい空気が上に昇っていく現象です。

 

これが、吹き抜けやリビング階段が「寒い」原因のひとつです。

高断熱住宅では、窓の断熱性能も高く、空気が冷やされないため、この現象が生じにくくなります。

 

空気の流れを生み出す仕組み

24時間換気システムについて

 

24時間換気システムとは、新鮮な空気を常時室内に取り入れ、1時間で半分以上の空気を入れ替えるものです。

空気中に滞留した化学物質が原因で発症する「シックハウス症候群」対策ですね。

2003年の建築基準法改正で、(原則)新築の住宅全てに設置が義務化されました。

 

24時間換気システムにもいろいろあり、住宅向けとしては大きく3種類に分けられます。

  • 給気・排気のどちらも機械制御で行う第1種換気システム
  • 給気だけ機械制御の第2種換気システム
  • 排気だけ機械制御の第3種換気システム

 

いずれのシステムも、設置の初期費用やランニングコストを含めメリット・デメリットがありますが、機械制御の換気扇やダクトを使用することは共通です。

 

フィルターの掃除やメンテナンスの手を抜くと、本来の機能が発揮できません。

そうかと言って、毎日毎日、整備点検するのも非現実的です。

また、料理をしたときなど、急速ににおいがこもる場合もあります。

 

なので、窓の開閉やキッチンの換気扇なども併用した方が効果的です。

※ローコスト住宅ではなく、24時間完全空調などハイレベルな設備を装備した注文住宅は、施工元に相談してくださいね。

 

窓について

おすすめは、縦すべり出し窓

 

窓にもいろいろ種類がありますが、風通しを重視する場合、担当設計士さんに勧められたのは、縦すべり出し窓でした。

 

これが縦すべり出し窓↓

このように、玄関ドアのように開く窓です。

 

縦すべり出し窓のメリットは、

横に吹く風も受け止め、室内に流してくれることです。

 

【窓ガラスが防波堤になって、風を室内へ招き入れる】

ウインドキャッチャー

いわゆるウインドキャッチャーの役目を果たすわけですね。

 

例えば、引き違い窓は、壁に穴が開いただけの状態ですから、室内に取り込めるのは、主に「正面から吹いてくる風」です。

孤島の灯台ならまだしも、住宅地では、いつも同じ方向に風が吹くとは限りません。

 

これが引き違い窓↓

 

もちろん限度はありますし、その他の設計との兼ね合いも注意が必要ですが、引き違い窓ではなく、縦すべり窓を左右に配置できれば、より風を取り込みやすくなります。

 

窓の位置

 

縦すべり窓を左右に配置しただけでは、

風を取り込んでも、室内を抜けてはいきません。

 

【縦すべり出し窓から風は入るが、通り抜けない】

 

理想は、

対角線あるいは向かい合った位置に

窓と出入口を配置することです。

 

【窓や出入り口を対角線・向かい合って配置すると風が抜ける】

 

このように入口と出口を離して、かつ向かい合うように作ることで、風の通り道が生まれるのです。

 

もし部屋の大きさや周辺建物の位置関係で、二つの窓を設置できない場合は、入り口ドアを開けることも解決の方法ですね。

 

風向きについて

風向きに合わせて、間取りや窓の位置を設計しましょう。

風通しの良い家を作るためのアドバイスとして、そう書かれている記事をよく見かけます。

 

海辺の町や高台の住宅地では、きっとこれが有効なんでしょう。

でも、私の実感では、

住宅地での風向きなんて、ころころ変わります。

 

これに合わせて住宅を設計するなら、多面体で全方位に窓をつけるしかないのでは?

 

たとえばこんな家なら、どんな風向きでもOKです。

※どこかの展望台

 

住宅地の風向きを読むなんて、ちょっと現実には難しいと思いますし、自宅を建てるときにも設計士さんから言われました。

風の谷のナウシカじゃないんですから。

 

防犯対策もしっかり

 

窓の場所について、風通しだけを考えていたいのですが、なかなかそうもいきません。

防犯やプライバシーを守る配慮も必要です。

 

まず心配なのは、空き巣です。

空き巣の多くは「窓から侵入する」とのデータもあり、塀や隣家の屋根などから容易に入れる位置には要注意です。

 

空き巣ほどの件数はありませんが、ストーカー被害も、窓からの侵入がポピュラーです。

また、高い塀の陰になるような位置も、道路から見て死角になるので、気をつけた方がいいでしょうね。

 

もうひとつは、プライバシー保護の対策です。

隣家との距離が近かったり、あるいはリビングと面している場合、窓が向かい合っていると、お互いに気まずいものです。

また、通りに面した位置も、意図せずとも通行人と目が合うことがあり、注意が必要です。

デリカシーのない人だと、覗き込んでくる場合もあるでしょうし。

 

窓が多いと壁が減る

 

風通しだけを考えて、窓の位置を決めたり増やしたりすると、壁の面積が減ります。

つまり、家具の置き場所がなくなります。

本棚に食器棚、テレビとダッシュボード、アップライト型ピアノ・・・。

 

壁を背にして置くタイプの家具は、けっこうたくさんあります。

札幌を含めて北国なら、これにストーブやパネルヒーターが加わりますね。

 

等間隔に何か所も設置した窓、床から天井までの掃き出し窓・・・。

インテリアとしても素敵ですし、日差しもたっぷり入ります。

もちろん風通しにも貢献しますが、家具を置く場所は減ります。

 

その窓は、本当に開けられる?

風通しの良い家にとって、窓はとっても重要なポイントです。

それにもかかわらず、開けられない窓も存在します。

 

はめ殺し窓(FIX窓)ではありません。

例えば、隣家や通行人の視線が気になったり、防犯上よろしくない位置にある窓です。

 

私自身も、以前住んでいた貸家の掃き出し窓は、ほとんど開けませんでした。

掃き出し窓は、床から天井までの窓ですから、外からもひょっと人が入ってこれます。

1階に住んでいたので、ちょっと怖いなと感じたのです。

 

もしくは、窓にくっつけてベッドを置いていたり、クローゼットで窓が半分隠れているような場合。

やっぱり開けなくなりますよね。

雨でも降られたら、大惨事ですもの。

 

こうならないように、設計士さんとはよく相談をしましょう。

その際には、自分が持っている家具の把握も忘れずに。

 

換気扇について

24時間換気システムでは、空気はゆっくりとしか入れ替わりません。

でも料理をすると、一瞬で強い匂いがこもるときがあります。

 

ニンニクやにらをたっぷり入れた、豚キムチ煮込み。

とっても美味しいですが、満腹になった後の残り香はちょっと辛い。

 

そんなときには、キッチンの換気扇の出番です。

 

局所的に空気の入れ替えをしたいときは、換気扇を有効活用しましょう。

 

ただし、入ってくる空気がないと、換気扇もなかなか排気できません。

近くの窓を開けるのが効果的です。

 

風の通り道を確保する

 

窓を開けるにせよ、24時間換気システムをにせよ、風の通り道がないと、家中の空気はスムーズに流れません。

 

間取りや建具の工夫

 

窓の位置や種類の他に、間取りの工夫も重要です。

基本的には、暖かい空気が下から上へ登っていく性質がありますので、その流れをさえぎらないようにします。

 

たとえば、吹き抜けやリビング階段ですね。

冷たい空気が下がってくるので「寒い」と思われがちな両者ですが、断熱性能がしっかりしていれば、必ずしもそうではありません。

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同じく風の通り道を確保するために、開け放しておける引き戸や可動式欄間(らんま)など、建具も工夫できます。

 

実際に住んでみて

 

いろいろとノウハウを並べたとして、問題は、実際に住んでみてどうだったのか、です。

まず我が家の間取りをご覧ください。

 

【1階】

 

【2階】

 

間取り図にある通り、基本的には対角線・向かい合う位置に窓がついています。

2階洋室の2か所を除けば、全て縦すべり出し窓です。

(なぜ二つだけ横すべり出し窓なのかは、聞き忘れたままです)。

 

加えて、リビング階段。

そして各部屋のドアの上部には、それぞれ可動式欄間(らんま)がついているので、空気が流れるようになっています。

 

感想は・・・

風通しは、いいですね。

 

こんな感じで、風が通ります。

 

よほど無風の天気でなければ、窓を開けると空気の流れが感じられます。

暑さもうまく放出できているのか、夏場に2階の窓を開けておくと、クーラーをつけた1階だけがちょうどよく冷えます。

 

主観的な感想だけでなく、客観的な事実をひとつ。

 

1階キッチン奥の換気扇を回すと、家中の窓がびしっと吸い寄せられます。

窓のゴムパッキンが緩んだときには、すき間風が入ってきたほどです(今は再調整済みです)。

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そして換気扇を止めると、すき間風や窓が吸い寄せられる感じはなくなります。

風の通り道はしっかり確保できているようです。

もちろん、今のところ犬の匂いも、頭痛も気にあんまり気になりません。

 

「風通しの良い家」は、窓と間取りに配慮すれば、ローコスト住宅でも実現可能だったのでした。

 

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