札幌でローコスト住宅を建てようと思うと、対応する工務店やハウスメーカーは、けっこうたくさんあります。
主力の住宅商品でなくても、「条件次第では、建築可能」な業者となると、十数社は優に超えるはずです。
でも、ローコスト住宅って、なんとな~く不安ではありませんか。
「欠陥住宅ではない」
これは当たり前として、性能にどこまで気をつければいいか、です。
寒冷地の札幌では、特に、冬の暖房費の問題がありますよね。
建物費用が多少安くても、毎年々々の暖房費が高いなら、「ローコスト」住宅で建てる意味がありません。
でも、暖房費の単純比較なんて無理です。
「寒さ」なんて、とっても主観的なものですからね。
特に年配の方の「部屋を暖める」とは、真冬でも、室温30度近いことを意味したりします(実話)。
医療介護の仕事をしているのですが、自宅で熱中症になるご長寿さん、冬でも珍しい話ではありませんもの。
では、何を基準に「ローコスト住宅」の断熱性能を判断すればよいのか。
目安のひとつに使えるのが、「札幌版次世代住宅基準」です。
今回は、
- 新築住宅を建てるなら、ある程度の断熱性能を備えるべき理由
- 「札幌版次世代住宅基準」が、ローコスト住宅の性能目安に使えること
こんなことについて、まとめました。
新築住宅でも、数年後には資産価値が激減?
「省エネ基準適合義務化の2020年問題」をご存じですか。
国としては、住宅として満たすべき省エネ基準(平成28年基準)を定めています。
今までは努力義務だったわけですが、2020年以降は、この基準以上の断熱性能を有していなければ、新築住宅を建てられなくなる。
これが「省エネ基準適合義務化の2020年問題」です。
つまり2020年からは、平成28年基準を下回るような断熱性能では、住宅としての建築許可が下りないというわけです。
でもまあ、これは延期になりました。
住宅や小さな建物は、現状では省エネ基準への適合率が低いから
これが理由です。
いくつかの調査によると、「平成28年省エネ基準」に適合する住宅は、全体の6割にも満たないのだとか。
基準をクリアするためには、断熱材や断熱窓、LED電気などへの投資が必要になり、施主への負担増と住宅市場の冷え込みにつながるから延期する、というのが国の言い分です。
ただし、「平成28年省エネ基準」に適合した設計・住宅なのか、設計者や施工者側が施主へ説明することが義務となりました。
そして、近い将来には、「平成28年省エネ基準」の義務化は実行される見通しです。
これ、何だか似ていると思いませんか?
あれ、です。
1981年以前の住宅は、「旧耐震建築物」として、問題視されている件
建築基準法が1981年に改正・施行され、耐震基準が厳しくなったのです。
そのため、1981年以前の住宅は、「旧耐震基準」つまり地震に弱いとして、資産価値はダダ下がりです。
これと同じような事態が、断熱性能の有無についても、生じるだろうと思うのです。
これから家を建てようってときに、「売れるかどうか」を考えるなんて。
不謹慎なような気もしますが、でも、私は知っています。
札幌市内の中古住宅市場では、築10年以内の住宅も、けっこうあります。
人生は、何があるかわかりませんものね。
ある程度の断熱性能は、備えていた方が無難です。
札幌で暮らすなら、どのくらい断熱性能は必要?
「省エネ基準適合義務化の2020年問題」は、まあ、全国規模の話です。
では、話をぐっと身近に戻して、札幌に住むならどうかです。
「札幌版次世代住宅基準」が目安になる
「札幌版次世代住宅基準」とは、高断熱・高気密住宅について、札幌市が独自に決めた基準です。
機能レベルに応じてステージが5段階に分かれ、上位3段階には補助金も支給されます(一部抽選)。
実は元々は、温暖化対策として設けられた施策です。
札幌は積雪地で、暖房をがんがん使うから、CO2の排出量も多い。
市全体のCO2排出量の4割は家庭からで、その6~7割が暖房給湯によるものなんだとか(注:札幌市「札幌版次世代住宅基準」に関する技術検討会議資料より:平成23年3月)。
断熱性能が高ければ、暖房はあまり使わなくても、暖かい。
暖房がそれほど必要なければ、光熱費も安くなる。
つまり、「札幌版次世代住宅基準」の認定を受けられるならば、光熱費の節約が期待できる。
こういうわけです。
ちなみに、2020年度「札幌版次世代住宅基準」は、現在5段階です。
札幌版次世代住宅の等級 |
外皮平均熱貫流率(UA値)[W/(m2・K)] |
一次エネルギー消費量(全体) | 一次エネルギー消費量(暖房+換気) |
相当隙間面積(C値)[cm2/m2] |
補助金 |
---|---|---|---|---|---|
トップランナー |
0.18以下 |
等級5 |
35%以下 |
0.5以下 |
160万円 |
ハイレベル |
0.22以下 |
等級5 |
45%以下 |
0.5以下 |
110万円 |
スタンダードレベル |
0.28以下 |
等級5 |
60%以下 |
1.0以下 |
50万円 |
ベーシックレベル |
0.36以下 |
等級5 |
75%以下 |
1.0以下 |
補助対象外 |
ミニマムレベル |
0.46以下 |
等級4 |
90%以下 |
1.0以下 |
補助対象外 |
※「札幌版次世代住宅基準」概要:札幌市発表資料を元にyukidaruma作成
ミニマムレベルは、国の省エネ最低基準相当です。
これが、いわゆる「省エネ基準適合義務化の2020年問題」をクリアする状態です。
実際には、2020年以降の「義務化」予定ですが、これから新築するなら押さえておくべきでしょう。
そして、次のランクがベーシックレベル。
札幌市としては、ここをまずは「当たり前」にしたいのでしょう。
2020年からは、補助金の対象からは外れました。
私は専門家ではないので、はっきりしたことは言えませんが、ローコスト住宅の工務店選びでは、この「ベーシック」以上かどうかが、最初の判断基準だと思います。
ローコスト住宅でも、ここをクリアしていれば、断熱性能について、ひとまず安心ではないでしょうか。
住宅資材を削ってローコスト化するメーカーであれば、ミニマムレベルに留まるでしょうし。
スタンダードレベルからは、補助金の対象になります。
「ゆきだるまのお家(藤城建設)」など高断熱・高気密のローコスト住宅は、このランクが標準仕様の例が多いです。
その上、「ハイレベル」、「トップランナー」となると、ローコスト住宅ではちょっと難しそうです。
特に「トップランナー」となると、こうです。
- 断熱性能は、国の省エネ基準の2.5倍以上の高性能
- 2019年度は募集3軒に対し、申し込みは1棟のみ
- 日本国内で、最高峰に厳しい公的基準
ここまで出来ると、暖房費は劇的に節約できます。
「無暖房住宅」なんてキャッチフレーズがついたりして。
ただし、建築費もなかなかのお値段です。
悩ましいような気はしますが、私は全く悩まず、「スタンダードレベル」で自宅を建てました。
そして、今のところ満足しています。
「暖かさ」は基準がないから、断熱性能で判断
↑冬でもぽかぽかの家は、犬も快適です。
今年の札幌で初雪は、11月でした。
ストーブが必要なのは、10月半ばからでしょうか。
それから完全に雪解けする4月・5月まで、半年ほどもの間は、「暖房」が暮らしの相棒です。
北海道は、四季ではありません。
春・夏 秋・初冬・真冬・雪解けの六季だという人もいます。
暖房のランニングコストは、かなり重要なポイントです。
ローコストで建てるにしても、潤沢な資金があるにしても、断熱性能にはぜひ注目してみてくださいね。
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