新居に和室は、いらないです。
新居を建てるときに、そう言ってお願いしたので、私の自宅には和室も畳もありません。
なければないで、不便も不満もなく、淡々と生活しているわけです。
※祖父母の家にこんな部屋がありました
でも、ひとによっては事情が違うんですね。
私の知人は、今、和室を作るかどうかで、真剣に悩んでいるのです。
私がお願いした工務店とは別ですが、彼女もローコスト住宅で建てる予定です。
夫婦と子どもひとり、家庭があるので、彼女の一存ではいろいろ決められません。
彼女は和室ほしい派で、夫さんは「興味ない派」。
じゃあ、和室を作ればいいじゃんって話ですが、踏み切れない理由があれこれあるようです。
ローコスト住宅で、和室を作るデメリット
ひと昔前の日本家屋なら、和室があるのが当たり前でした。
むしろ和室しかなかったのに、今のローコスト住宅では、洋室が定番です。
それには、こんな理由があるのでした。
費用が高くつく
ローコスト住宅で和室を作ろうとすると、まずは費用の問題があります。
建築費が高い
ローコスト住宅では、費用削減の方法として、建築資材を統一・大量発注したり、工程を簡略化することがあります。
間取りや建築資材が決まっている「規格住宅」がその筆頭でしょう。
「規格住宅」の場合、シンプルな洋室で構成された間取りが多いです。
一方で和室は、きちんと施工すれば、洋室よりも工程が複雑になります。
畳を敷く、敷居や鴨井などを取り付ける、床の間の配置・・・素人でも想像がつくくらいです。
どのくらいレベルを求めるかにもよりますが、ローコスト住宅では、和室はオプション扱いの可能性が高いです。
ランニングコストがかかる
和室につきものの「障子」と「畳」。
この二つは、定期的なメンテナンスが必要です。
障子は木製の引き戸などで代用するとしても、「畳」は省略できません。
畳の表面に敷きこまれているイ草は、言ってみれば「草」の一種です。
繊維が柔らかですし、木材や石に比べて、段違いに傷つきやすい。
数年ごとに、「畳替え」をするのが理想です。
もちろん素人では手に負えず、業者に依頼することになります。
地域によって費用にはバラツキがありますが、札幌近辺だと、最安価格帯で2000円前後~/枚ですね。
6畳間だと、1~2万円程度は必要になる計算です。
リフォーム代が高額になる
もし和室を洋室にリフォームする場合です。
仮に天井や壁、引き戸など建具はそのままで、床だけをリフォームするとしましょう。
畳を剥がして、フローリングを貼る。
そのためには、床下からの工事が必要になるのです。
なぜなら、一般的なフローリングの厚さは15ミリ前後なのに対して、畳は40~50ミリほど。
畳を撤去後に、下地木工事をして床を底上げしないと、他の洋室との境目に段差ができてしまうのです。
家具を置きにくい
畳の上に重いものを置いたままにすると、跡がついてしまいます。
しかも、一度ついた跡は、ずっとそのままです(涙
平気と言われればそれまでですが、気になると、けっこう目に付くものです。
カビやダニの問題
イ草は天然素材で、しかも繊維が柔らかい。
ダニやカビにとっても、まあ、居心地は良さそうです。
常に乾燥させておけるならまだしも、ジュースをこぼしたり、お菓子のかけらが落ちたままだったら、もう微生物の楽園でしょう。
畳に染みこんだジュースを完全に拭き取るなんて、至難の業です。
犬や猫を飼っているなら、トイレの失敗も要注意ですね。
こんなにデメリットあるのに、なんで、和室がほしいの?
思わず聞きました。
すると、
違うの、あのねと友人は続けます。
和室のメリット
何にでも使える部屋
和室は、用途が限定されないフリースペースとして使えます。
朝ごはんはちゃぶ台で食べ、
昼間は子どもの遊び部屋になり、
夕食後に布団を敷いたら寝室になる。
そして翌朝、布団を押し入れにしまったら、朝食用にちゃぶ台を出してくるわけです。
これは極端な例ですが、
- お客さんを泊める部屋
- 子どもの遊び部屋
- アイロンかけなど、広いスペースで家事をする部屋
- 趣味の作業部屋(友人は、ジグソーパズルが趣味です)
これだけの目的が、ひと部屋で叶うのです。
確かに、便利ですね。
畳の効果
和室に欠かせない畳ですが、床材として、とても高機能なのです。
まず、柔らかさです。
イ草を敷き詰めていますから、適度なクッション性があります。
転んでも、ある程度はショックを吸収してくれます。
体幹がまだ不安定な赤ちゃん、走り回ってすぐ転ぶ幼児、子どもの遊び場にちょうど良いのです。
また布団を敷いて寝室にすれば、転落事故の不安がありません。
洋室のフローリングでは、敷布団を直に敷くのはためらわれますが、畳なら平気です。
クッション性ももちろん、ある程度までは調湿機能もあるのです。
そして、畳そのものの手触りやイ草の香りも、魅力のひとつでしょう。
「和室」ではなく、「畳」がある場所
畳が良いんだよね。
友人は、ため息をつきます。
つまり、「和室」と言うよりも、「畳のあるちょっとしたスペース」がほしいようです。
独立した部屋としての和室なら、ある程度の広さがないと、使い勝手は悪いでしょう。
でも、「ちょっとしたスペース」なら、狭くても良さそうです。
2~3畳の広さなら、畳のメンテナンスもかなり楽になるはずです。
LDKの一部に小上がりを作る
私がお世話になった「藤城建設」で、ちらっと勧められたプランがあります。
それは、
LDKの一部に「小上がり」を作る
です。
モデルルームで採用されていたので、どんな感じかなと見学しましたっけ。
LDKの隅に、30cmほどの高さで小上がりがあり、2~3畳分の畳が敷いてありました。
LDKに一体化していますが、シンプルな柱で仕切られており、ちょっと特別感のあるスペースでした。
この小上がり型「畳スペース」ですが、メリットがいくつかあります。
まず、椅子として使えること。
ちょっとした休憩で、腰かけて一服するのにぴったりな高さなのです。
しかも畳なので、座り心地はソフトです。
そして、畳の下は収納になっていました。
LDKに大容量の収納があるのは、何かと便利でしょう。
小さい子どものおもちゃは、かさばるものも多いですし。
もちろん、大人ひとりが横になるくらいの広さはあるので、家事や趣味の作業、お昼寝場所にも重宝しそうでした。
そして、これが最も重要でしょう。
和室を作るより、ローコストで済む。
ちなみに、私が提案されたプランでは、追加料金はありませんでした(「ゆきだるまのお家」という超ローコスト住宅プランです)。
ローコスト住宅で、和室がほしいなら・・・
ローコスト住宅は、予算の調整が本当にシビアです。
それなのに、作るときも、維持するにも、とかく費用がかかりがちなのが和室です。
でも、和室が欲しい理由や目的を掘り下げていけば、うまい代案が見つかるかもしれません。
私の友人も、ほしいのは「畳のあるちょっとしたスペース」で、「和室まで、しっかりしたものはいらない」となったそうです。
そうなると、
LDKの一部に小上がりを作る
これで、ローコスト住宅でも、畳のある生活を楽しめるというわけです。
特定の工務店に相談する前に、間取りの相見積もりを取ってみるのも、勉強になりますよ!
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