そうだ! 家を建てよう。
そう決めてから、1年半ほどで自宅を建てました。
ちなみに、藤城建設の「ゆきだるまのお家」です。
マンションでなく、中古住宅でなく、建売でもない。
場所や間取りに自由が利く、注文住宅で建てたことに満足しています。
それも、超ローコスト住宅ですから、自分の身の丈に合った費用で賄えました。
お願いした工務店にも、不満はありません。
でも。
工務店・ハウスメーカー選びには、若干の後悔があります。
検索や調べ方もわからなかったし、見当違いなことをして時間も使いました。
そもそもは、どういう判断軸や基準で選べばいいか、見当もつかなかったのです。
たまたま自分に合う工務店に巡り合えましたが、それはまさに「偶然の妙」でした。
そこで今回は、私自身が経験して感じたことを元に、「札幌で、ローコスト住宅の工務店・ハウスメーカーを選ぶための判断軸」をご紹介します。
私自身は建築関係には素人ですが、だからこそ、こういう視点があることを知っておきたかったと思う内容です。
札幌でローコスト住宅を建てる費用
そもそも、ローコスト住宅とは、どのくらいの値段なんでしょう。
一般的には、坪価格が50万円以下くらいと言われています。
ただし、この坪単価がくせ者でして、はっきりと定義がないのです。
本当に建物そのものだけなのか、電気配線工事を含むのか、キッチンなど設備込みなのか・・・。
それに実際には、土地も必要ですよね。
土地を持っているのか、買うならどこの場所なのか。
札幌市で言えば、おしゃれセレブの街「円山」「伏見」「宮の森」あたりと、庶民の街「清田」や「厚別」では、何百万もの差がでます。
もしかすると、うん千万円も違いますよね。
あるいは、札幌市南区の奥だと、北広島市や江別市よりも安かったりしますし。
細かい条件を並べるとキリがありませんが、現状ではこんな感じが目安です。
※札幌やその周辺で、ローコスト住宅を建てる場合(2020年現在)
住める状態の建物と最低限のライフライン工事(水道など)
・・・1000万円半ば~2000万円前半
土地と土地整備の費用・・・1000万円半ば~
この費用内で、いかに満足度の高い自宅を建てられるか。
そのためには、どういう工務店・ハウスメーカーを探せば良いのでしょう?
ローコスト住宅の業者にも、得意分野がある
費用を抑えて作られるのが「ローコスト住宅」です。
問題は、何を重視して、何を節約するかです。
譲れないものをはっきり決めて、それ以外をどこまで妥協するかが肝要なのです。
札幌を含め、北国でローコスト住宅を建てる場合、重視するポイントはこの3つでした。
- 住宅性能
- 土地
- デザイン
では、順番にみていきましょう。
住宅性能について
↑ピンクの壁のところが断熱材
断熱性能
北海道は広くて、積雪や気温についても、地域によってかなり違います。
札幌やその周辺は、どちらかというと住みやすい地域でしょうね。
それでも厳冬期はマイナス10度台まで下がりますし、積雪もそれなりにあります。
ストーブが必要な期間は、約半年でしょうか。
「寒冷地手当」がない企業も、最近は増えてきましたよね。
となると、暖房費用はバカにできない出費です。
だからと言って、暖房費の節約は危険と隣り合わせです。
たとえば、居間だけ暖めて、浴室やトイレが寒い家に住むと、ヒートショックが怖い。
寒暖差で血圧が乱高下して、心臓発作や脳卒中のリスクが高まるアレですよ。
ヒートショックの恐ろしさは、突然死だけじゃないです。
本当の怖さは、こっちです。
脳卒中→麻痺や言語障害など後遺症→そのまま、ずーっと生きていく
ね、ある程度は「断熱性能」に配慮された家が必要なのです。
では、どの程度の断熱性能が必要か。
そのひとつの目安は、「札幌版次世代住宅基準」を参考にするといいでしょう。
これは、断熱性能を評価し、ランクに分けて、性能の高い新築住宅には補助金を出す制度です。
こちらの下から二番目、ベーシックレベルくらいは必要です。
【札幌版次世代住宅基準】
札幌版次世代住宅の等級 |
外皮平均熱貫流率(UA値)[W/(m2・K)] |
一次エネルギー消費量(全体) | 一次エネルギー消費量(暖房+換気) |
相当隙間面積(C値)[cm2/m2] |
補助金 |
---|---|---|---|---|---|
トップランナー |
0.18以下 |
等級5 |
35%以下 |
0.5以下 |
160万円 |
ハイレベル |
0.22以下 |
等級5 |
45%以下 |
0.5以下 |
110万円 |
スタンダードレベル |
0.28以下 |
等級5 |
60%以下 |
1.0以下 |
50万円 |
ベーシックレベル |
0.36以下 |
等級5 |
75%以下 |
1.0以下 |
補助対象外 |
ミニマムレベル |
0.46以下 |
等級4 |
90%以下 |
1.0以下 |
補助対象外 |
※「札幌版次世代住宅基準」概要:札幌市発表資料を元にyukidaruma作成
耐震性能
もうひとつのポイントは、「耐震性能」です。
道東ほどではありませんが、札幌周辺は、けっこう地震があります。
2020年1月~6月に限定しても、震度1以上の地震が7回発生しました。
記憶に新しい2018年9月の北海道胆振東部地震では、札幌市内でもたくさん被害が出ましたよね。
旭川より北の地域なら、そう滅多に地震はありませんが、札幌周辺は対策が必要です。
地震に強いとされる「ツーバイフォー工法」や「パネル工法」ではない「在来軸組工法」の木造住宅なら、耐震性についても確認しましょう。
私の場合は、この知識がなく、ノーマークでした。
(お願いした工務店に後で確認したところ、耐震性にも配慮されていました)
住宅性能については、気にすれば気にするほど、費用はうなぎ上りです。
重視するなら、住宅性能をウリにしている工務店やローコスト住宅メーカーに依頼しましょう。
「ほどほど」にする場合も、必要な性能レベルを決めておきましょう。
情報を集めるためには、客観的な評価数値の目安を把握しておくと便利です。
UA値やC値、耐震等級などですね。
土地について
札幌市内の土地は、値上がりしています。
はっきりと値上がりを始めたのは、外国人観光客が激増した平成27年頃と言われています。
それから下がることがなく、上昇傾向で続いています。
直近のデータを見てみましょう。
【札幌市の地価動向で、前年度からの上昇率】
住宅地:2.3%上昇(H30年)→4.0%上昇(H31年)
商業地:7.4%上昇(H30年)→8.8%上昇(H31年)
住宅地の公示地価に限ると、5年間で11%上昇しているのです。
建て替えや、実家の土地を使うなど、元々土地を持っているなら別ですが、そうでないなら、少しでも安く、住みやすい土地を手に入れるための作戦が必要です。
ローコスト住宅を建てる工務店やハウスメーカーでも、自社土地を多く抱える会社がいくつかあります。
しかも、建築条件付き土地であれば、相場よりも価格が安いケースが多いです。
土地価格を抑えて、全体的な総費用をローコストで収めるなら、土地売買部門にも力を入れる会社を選ぶのも方法です。
デザイン性について
家とは、壁と屋根と床が揃えば、何でもいいわけではありません。
誰にとっても、その人にとって「落ち着く」「気分が上がる」インテリアや内装・外装は、それぞれ違います。
ナチュラルテイストのカフェみたいな家
趣味のあれこれをディスプレーできる空間
漢な雰囲気の武骨なアイアンやダークウッドな建具を使いたい
せっかく家を建てるのだから、思い入れのあるデザイン性を重視する。
これも、工務店やハウスメーカー選びの基準のひとつです。
ローコスト住宅といえば、コスト削減のために、完全な自由設計で対応する工務店は少ないです。
通常は、いくつかの設計プランから選ぶことになりますが、シンプルな箱型の建物で、飾り気のないデザインの内装が多いのが実情です。
それでも、デザイン性が高く、セレクトショップやカフェとコラボしたシリーズを展開する工務店も、札幌と周辺にはいくつか存在しています。
デザイン性を重視するならば、ひとつの会社でも、モデルルームは数か所に行ってみるのがお勧めです。
性能・土地・デザインの3つのバランス
作成:yukidaruma
ローコスト住宅の場合は、限りある予算の配分がカギになります。
札幌やその近郊で考えているなら、性能・土地・デザイン性の3つについて、バランスを考えてみましょう。
雪国・地震のある地域ですから、最低限の住宅性能は必要です。
それに達しないレベルの住宅なら、その工務店・ハウスメーカーは選択外です。
本州資本の大手ローコストメーカーだと、住宅性能の点で、なかなか折り合いがつかないことが多かったです。
たとえば、断熱性能を「札幌版次世代住宅基準」のベーシックレベルまで求めると、オプション扱いと、説明されたこともありました。
お勧めの方法は、こうです。
住宅性能は、「札幌版次世代住宅基準」ベーシックレベル以上
その上で、
「断熱性能・耐震性能を上積みする」
「工務店・ハウスメーカーから安く土地を手に入れる」
「デザイン性を重視する」
このいずれかに強い工務店・ハウスメーカーを探す
そうすると、効率よく選択肢を絞っていけます。
参考になるとうれしいです。
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